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2017年12月24日 (日)

なぜお寿司屋さん夫婦は警察を訴えて勝てたのか

日本の台所・東京都中央区の築地市場前で朝8時に事件は起きた。

駐車違反をめぐる警察官とのささいな口論から、

新宿で寿司店を経営する男(59歳)は公務執行妨害で逮捕、19日間の勾留。

妻(46歳)は真実を明らかにするために目撃者捜しに奔走する――。

突然、犯罪者にでっち上げられた夫と無念を晴らそうとする妻が、

真実を勝ち取るまで歩んだ9年1か月。

◇「法定禁止エリアだ!」とむっとした警察官

 20071011日、東京新宿で寿司店を経営する男は築地市場で仕入を終えて車まで戻り、店に向けて出発しようとしていた。運転席に座ってエンジンをかけていたのは彼の妻だ。

すると車の右前方に立っていた交通取締りの女性警察官が立っているのに気づき、

「発車しますので、そこ退いてくれませんか」

と寿司店経営者は依頼した。

 二度頼んだのだが、むっと黙っていた警察官は、

「法定禁止エリアだ」

と一言述べただけだった。

交通取締りと思った男は、「運転手もいなくて長時間放置されている他の車をそのままにして、運転者がエンジンをかけて出発しようとしている車を取り締まるなんおかしくない!?」と思わず正論を口にした。

築地市場周辺の朝は、仕入関係の車があちこちに駐車されており、T字型交差点の中に駐車されていることも珍しくない。杓子定規に取り締まっていたら市場が機能しないので、警察もいわば「暗黙の了解」で、その状況を許容している。

 

夫婦は乗用車で仕入れに来ていたが、自分たちも仕入だと示すため、トランクや後部座席に積まれた食材を見せて、普通の仕入だと警察官に説明したのは言うまでもない。

ところが、憮然と「法定禁止エリアだ!」と述べた女性警察官は納得しない。

「乗用車はダメ!」

「謝りもしないで!」

「今日は絶対行かせない!」

と怒鳴り始め、警察官は感情を抑えきれなくなってしまった。

そのあげく、運転もしない寿司店経営者に向かって(運転はいつも奥さん)「免許証出せ!」と反則切符が入ったカバンをがんがんと突き付けはじめ、寿司店経営者は後ずさりしてガードレールにぶつかってしまった。

 

◇警察官が「暴行を受けています」と狂言

まもなく、警察官は無線機に口を近づけ「暴行、暴行、暴行を受けています」と大嘘をついて緊急通報したのである。かけつけた築地署員らに男は取り押さえられ、公務執行妨害の現行犯として逮捕。連れて行かれた先は、暴力団などを取り締まる組織犯罪対策課だった。

警察の資料によると、男(寿司店経営者)は歩いてくるといきなり女性警察官の顔10センチまで近づき、「何が悪いんだ! 後ろの車をやれ!」と怒鳴った。

そして女性警察官の胸を7~8回も肘で突き、車のドアを強く閉めて警察官の手首を負傷させ、なおかつ腕を振りまわして「逮捕できるならやってみろ! ふざけるんじゃねえ!」と怒号したことになっている。

交通取締をめぐってささいな争いがあっただけなのに、この寿司店経営者は、暴力的でとんでもないならず者にされてしまったのだ。

こうして夫は囚われの身となり塀の内側に押し込められてしまった。夫の無実を晴らすため、妻は翌朝から目撃者捜しに奔走する・・・。

無実を証明するといっても、警察相手にどうすればいいのか。その背後には検察も裁判所もある。いったいどうやって一般人が警察官の大嘘だと証明すればいいのだろうか。寿司店経営の夫婦は、途方にくれながら、長い闘いの一歩を踏み出した。

そして事件から9年1か月、事件の真実があきらかになった・・・。

 

⇒「不当逮捕―築地警察交通取締りの罠」(同時代社)

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