新刊「不当逮捕ー築地警察交通取締りの罠」の紹介
先日、近所を自転車で走っていると、公園の入り口で中学生3人と警察官1人が立って何か話しているのを見かけた。
自転車に乗っている人を呼び止めた警察官が、自転車の登録番号を確認したり、根ほり葉ほり質問して自転車所有者を止めていっこうに解放しない場面を見たことがある人も多いだろう。あるいは、自身がしつこい“自転車職質”や通常の職務質問を受けた経験のある人もいるかもしれない。
このとき見かけた中学生は3人だったからまだいいが、もし1人だったらかなりいやな気分になったことだろう。
警察官から理不尽な交通取り締まりを受けたという話もときどき聞く。明らかに違反していればまだしも、納得がいかない取締りで違反切符を切られた経験者もいるはずだ。
たいていの場合は、一般市民の泣き寝入りで終わる。ところが、これから始まる「ドキュメント築地警察交通取締りの罠」は、不当なことに泣き寝入りせずに闘ったお寿司屋さん夫婦の物語である。
東京新宿区で寿司店を営む夫婦が築地市場での仕入れを終えて帰ろうとしたところ、車の前に立ちはだかった交通取り締まりの警察官が「法定禁止エリアだ」と一言。これがきっかけで警察官と言い合いになってしまったのだ。警察官は「暴行されています」と虚偽の緊急通報をしたため、けたたましいサイレンが鳴り、何台もの警察車両が現場に駆けつけ、寿司店の経営者は後ろ手に手錠をかけられ逮捕されてしまった。
なんと、警察官に暴行して公務執行妨害をしたという事件をつくり上げられたのだ。一般市民が交通取締官に抗議しただけで、とつぜん犯罪の被疑者にされてしまったのである。車に乗る人なら、明日は我が身ではないだろうか。19日間の拘束ののち釈放されたが、夫婦の闘いはそれからだった。
2人は、警視庁(東京都)、国(検察庁・裁判所)を相手取って国家賠償請求の裁判を起こし、事件発生から一応の決着がつくまで、9年1か月の苦難の道程を歩むことになる。
警察相手の訴訟で一般人が勝てる確率はきわめて低い。法律のプロや裁判の経験のある人は別にして、ほとんどの人は、裁判では証拠資料が提出され、証人尋問もきちんと行われて判決が出されると思っているのではないだろうか。
しかし警察や検察は、不都合な証拠書類を徹底的に隠し、何人も名乗り出た目撃者の証人尋問も実施されなかった。裁判を起こした2人からすれば、公正な審判であるはずの裁判官が、自分たちに被害を与えた警察官や検察官らを守ろうとしているとしか思えなかっただろう。
実際、よほどのひどい犯罪を公衆の面前で犯しでもしない限り、警察官や検察官などの責任を追及することは難しい。まさに「絶望の裁判所」を夫婦は目の当りにした。
それでも最終的に勝訴できたのは、不正対して泣き寝入りせずに立ち上がり、最後まで信念を貫いたことに尽きる。警察相手の裁判で普通の人が勝ったことを記録に残しておきたいと、本書を世に出すことにした。
冒頭に示したように、自転車職務質問、一般の職質質問、納得のいかない交通取締りなど、不愉快な思いをした人たちの参考になるかもしれない。あるいは、交通取締りや職質に限らず、権力の横暴の前に心ならずも泣き寝入りせざるを得なかった人たちが、本書を読むことで闘いと勝利の“仮想体験”をしてくれてもいいと思う。この本に登場する夫婦がとった行動は、勇気を与えるかもしれない。
それでは、事件の朝から順を追って二人が歩んだ道をたどっていこう。
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