ある意味で自民党改憲草案は明治憲法より悪い
昨日の話し合い(第52回草の実アカデミー「緊急会議 いま目の前にある危機その2」の大雑把な報告はこちらのブログに書いた。話題は多岐にわたったが自民党が出した憲法草案について時間を割いた。「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」とされた「基本的人権を」そっくり削ったのが自民改憲草案である。
「これは、まるで感覚が明治憲法、大日本帝国憲法だ」わたしがつぶやくと、長野県から参加した医師が「いや、それ以下でしょう」と苦笑した。
遅れて参加したジャーナリストの三宅勝久さんも、「少なくも、明治の時代は、政府も国民も、一等国家になるように、少しでもよくなるようにという思いがあった」という趣旨の発言をしたが、そのとおりだと思う。
明治維新、植民地化を逃れ、少しでも近代化し憲法を制定し議会を開設し、教育システム、産業育成、軍隊の設置・・と制度を整えて、「一等国家」にし、不平等条約を撤廃させようと努力し、すこしでもよくしようという前向きのエネルギーがあったことは間違いない。
もちろん、急速な近代化の弊害もあった。維新前の古い日本はダメとされ、伝統をないがしろにし西欧文明を強引に取り入れていささか無理な近代化をしたために、歪み、その反動で軍国主義をエスカレートさせて崩壊いいたったのは周知のとおり。
ところが、自民党の改憲草案は、少しでも国をよくし国民の生活と幸福を守ろうというものがゼロだ。
それどころか、永久不可侵の基本的人権をはく奪し[現行憲法97条を削除)、結社・集会・言論・出版の自由などを定めた現行憲法21条を、「公益、公の秩序」を乱すものは認めらないとしている。
その他の自由や人権も、公益と公の秩序という概念を持ち出して自由を制限んしている。さんざん国民の自由と人権を奪った憲法を国民に対して守る義務を課している。
権力がフリーハンドに何でもでき、国民はそれに従う。逆らったら弾圧するという文言がずっと並んでいる。こんなものは憲法ではない。よりよい社会や国を目指すという気概がゼロの恐怖政治にほかならない。
もちろん、19世紀に制定された明治憲法と21世紀の自民党改憲草案では違うから、まるっきり大日本帝国憲法みたいだ、などというつもりはないが、底流に流れる”姿勢”が明治憲法以下だと私は感じる。
まともな人が読めば、自民党憲法改正草案はクーデター宣言であり、こんなものを憲法にしたら世界の笑いものになるであろうことは、容易に想像がつく。
問題点をひた隠しにし、ここまで自民党を増長させた大マスコミの罪は大きい。
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