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2009年10月26日 (月)

「民族を超えて実行した平和行進」

「民族を超えて実行した平和行進」
        ~チェチェン戦争反対運動の原点 10月31日に講演します。

◇15年目のチェチェン紛争

 1994年12月、ロシアからの独立を宣言したチェチェン共和国にロシア軍が全面侵攻撃して
から15年が経とうとしている。正確なデータはないが20万人が犠牲になったと複数の団体が
発表している。

1996年8月に一度停戦があり、1999年10月から第二次の戦争がはじまった。現在ロシア軍は作戦終了を宣言しているが、たびたび独立派レジスタンスによる攻撃も伝えられている。

 チェチェン現地では、カディーロフ(ロシア傀儡政権)が恐怖政治を行い、不当逮捕・拉致が横行。ジャーナリストや人権擁護活動化が暗殺されている。

◇偏見と差別の悲しさ

 もとをたどれば、400年に及ぶロシア帝国の支配に対する少数民族の闘いである。時代によって表面に現れる問題は多々あるものの、根本は変わりない。

 長年の弾圧と虐殺によってチェチェン人のロシアへの不信は根深い。一方、ロシア人のチェチェン人に対する偏見と嫌悪も病的だ。

 もともとロシア権力によって、何百年にもわたってネガティブ・キャンペーンが行われてきた。1994年12月に始まった戦争でも同じである。それが、プーチンが首相になった1999年ごろからエスカレートした。

 第二次チェチェン戦争勃発の直前、ロシアで連続アパート爆弾テロが発生し、ロシアはチェチェン独立派の犯行と断定し、圧倒的世論の支持を受けて再侵攻を開始した。この一連のテロ事件は、ロシア秘密機関の犯行ではないかと指摘する犠牲者遺族なども出ているし、その後不審なアパート爆弾テロ未遂事件も起きている。

 その当時、モスクワの日本人特派員がいった。

「林さん、もう全然空気が違いますよ。テロリストのチェチェン人を攻撃しろ、戦争やれ、の一色です。戦争がはじまったころの反戦の機運なんてありませんよ」

 その特派員は、暗くやるせない声で言った。たしかに、戦争当初の反戦の空気やチェチェンの被害者への同情は大きく後退していた。しかし、本当に事態の本質をみぬくひとは、実は変わらないことが後にわかった。

 世論や、最初のころに反省に共感を示しいたレベルの人々は、ロシア当局のチェチェン=テロのプロパガンダに惑わされていた。しかし、世の中が騒がしくなっても、変わらない人がいた。

 それが、戦争開始当初の1995年3月から4月にかけて、モスクワからチェチェンの首都グローズヌイまでの「平和行進」に参加した人たちだった。この一大イベント周辺にいたひとたちの信念は変わらなかったのである。
 
◇敵と味方に分断された人たちの共同平和行進

 第一次チェチェン戦争が始まって3か月。無差別攻撃を逃れてモスクワにやってきたチェチェン女性たちと、戦場に息子が兵士として送られているロシア兵士の母親たちが集まった。停戦を求めて、合同でモスクワから激戦が続くチェチェンの首都グローズヌイに向けて行進することにしたのだ。

 私は、この行進に最初から最後まで見届けた、ただ一人のジャーナリストだった。そのような背景もあり、これがチェチェン取材の出発点となった。

 途中バスなどもつかったが、ひたすら歩いた。つまり行脚である。政治や軍によって敵味方に分けられたロシア人とチェチェン人が一緒に行進した。その事実は重い。

 最近読んだ『チェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たち』(オスネ・セイエルスタッド著・青木玲訳・白水社)でも偏見と分断の深刻さがわかる。たとえば本書には次のような部分がある。

 この本では、被害を受けるチェチェンの人ばかりでなく、地雷で失明した若いロシア兵士、モスクワでチェチェン人を襲撃したスキンヘッドの若者と家族など、ロシアの人々も登場セせている。

 登場するロシア人たちはチェチェン人に対し「野生剥き出しで、動物みたいだ。文明なんかなく、殺すことばっかり考えている。むかつく連中だよ」と罵しる。

 その罵りの言葉から、彼らが幸せで充実した人生を送れないであろうことが容易に想像できる。ロシア人の傷も深い。かつて私は、このような言動を見聞きすると怒っていたが、最近では「かわいそうだ」と感じるようになった。

 こんな状況だから、チェチェン人とロシア人が一緒に反戦活動をすることに賛同を示す人も、実際に関わる人もごく少数派であることは言うまでもない。千人にひとり、数千人にひとりというレベルだろう。

 だからこそ、口先だけでなく実際に行動した「平和行進」の価値がある。当日は、そこから見えることを日本の状況とも比較しながら語りたいと思う。

【日時】   平成21年10月31日(土)13:00~15:30
【実施場所】 日本大学国際関係学部 15号館1階1512教室
【実施団体】 日本大学国際関係学部 国際交流学科 安元隆子ゼミナール
       静岡県三島市文教町2-31-145
        JR三島駅より徒歩7分

【プログラム】 13:00~ ゼミ生によるレクチャー
          (ゼミ紹介、戦場の医師ハッサン・バイエフ氏などのチェチェン戦争において          
           平和活動を行った人々、チェチェン難民の現在)
        13:45~ 林克明による講演
        休憩(15分)
        14:30~ ロシア人歌手エカテリーナさんによるコンサート
        15:30  終了予定

*会場前にて林克明の写真展及びゼミ展示を行います。
この写真展は10月31日~11月2日の三日間。朝9時から夕方5時ころまでです。
内要は、「チェチェン 屈せざる人びと」(岩波書店)に掲載されているものと
同じです。
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/qsearch

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