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2009年3月19日 (木)

都議会傍聴「治安警察条例」街頭パフォーマンス規制条例は怪しい

 街頭におけるパフォーマンスなど言論表現活動取締につながる「安全・安心まちづくり条例」(治安警察条例」=街頭パフォーマンス規制条例)をめぐって3月17日、都議会総務委員会で質疑応答があった。答弁を聞いていて、危険な条例であることが明確になったが、翌18に総務委員会で採決された。

◆言葉の定義があいまいで恥ずかしい条例案

◆6年連続で都内の犯罪は減り続けているのなぜ条例改定か。

◆言葉を定義しないのは、規制実行者の判断に100%ゆだねること

◆「権利制限も規制も課さない」と口では言うが条文には書かない

◆「規制する側が違反行為する事態は生じない」と答弁

◆「指針」=「考え方」に書いてないことも実行できる!?

◆「大音量は規制対象」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆言葉の定義があいまいで恥ずかしい条例案

 国会の委員会傍聴はしたことがあるが、都議会委員会の傍聴は初めてだった。開会に先立ち、報道の腕章をもらおうと思ったが、記者クラブ加盟で登録していないと一般傍聴になると言われ、その枠内で写真撮影の腕章をもらった。

 たまたま傍聴席が開いていたが、もし満席ならば、私たちのようなフリーランスの記者は取材できないことになる。いつものことだ。

 あらためて改定のポイントを書くと、現行の「安全・安心まちづくり条例」に「繁華街等における安全・安心の確保」の一章を追加するもの。繁華街等の事業者・住民・来訪者らに対して、知事と公安委員会(事実上警視庁)が作成する「指針」に従うように努力義務を課す。

 条例改定案発表の直前、「繁華街等における安全・安心の確保に関する考え方」という文書が発表された。この「考え方」が、前述した核心部分の「指針」になる。

 この「~考え方」なる文書に、繁華街等を訪れる人に「多大な迷惑となるパフォーマンス」などを慎むように努力義務を課すという一文があったので、多くの人が反対し始めた。しかも、「パフォーマンス」にも、「繁華街等」にも「来訪者」にも、定義規定がないため、判断する組織や人に白紙委任されることになるはずだ。

 後述する答弁からも、不信感はぬぐえなかった。

①「繁華街等」の定義規定がない。

② 「来訪者」の定義規定がない。来訪者って誰?

③多大な迷惑をかけるパフォーマンスなどを規制するが、これの定義もなし。

④条例とともに作成する「指針」は、知事と公安委員会(実質警視庁)で議会が関与する仕組みになっていない。(委員会答弁では、配慮するとはいったが言葉だけで条文に担保するものがない)

⑤実質的に「指針」が条例より上の位置にある。

 これで原案通りに採決されてしまったのだ。

◆6年連続で都内の犯罪は減り続けているのなぜ条例改定か。

 さて、3月17日の委員会質疑にもどろう。議員が一番いい椅子に座り、都庁職員が次にいい椅子にすわり、傍聴席はものすごく狭く、いちばん悪いイスに都民・有権者・納税者が座らせられて、委員会が始まった。

 賛成議員が質問した。それに対する八木沼今朝蔵・治安対策担当部長の答弁のポイントは次のようだった。

・過去6年間、連続して犯罪件数が低下している。

・しかし”体感治安”は低下している。

 つまり、どんどん犯罪は減って安全になっているが、08年の八王子の殺傷事件、秋葉原殺傷事件などもあり、”体感治安”が悪くなっていから、条例改定が必要だと主張する。これは治安対策担当課長も、賛成する議員も同じことを言っていた。

 体感治安。うまい言葉を捜し出したものである。体感だから、人によって感じ方が違う。だから街頭パフォーマンス(表現活動)の迷惑度も人によって違う。迷惑かどうか判断するのは、警察なども関与する推進協議会などなので、彼らの判断が採用される。

 背広を着ている人にとって夏の冷房が26度なら少し暑いと感じるだろうし、首をネクタイで絞めることのない女性にとっては、寒いからなんとかして、ということにもなる。こんな感覚で、はっきりした範囲や定義がないままに言論表現活動を規制しかねない条例をつくったわけだ。

◆言葉を定義しないのは、規制実行者の判断に100%ゆだねること

 条例改定に反対したのは、共産党の松村友昭議員と生活者ネットワークの山口文江議員だけ。とくに松村議員はするどい質問をしていたので、少しだけ紹介する。

Q,「繁華街等」というのはどのような範囲のものなのか。

A(八木沼・治安対策担当部長) 特定の地域や範囲を規定していない。推進協議会において判断し定める。

Q,ショッピングモールや駅構内、百貨店も「繁華街等」に入るのか。

A,ショッピングモールや百貨店は、管理体制が整備されており、防犯対策は、独自に充実が図られている。

 議事速記録にはこれしか書かれていない。ところが実際には、この質問のあとで、「みんなが、ここ(ショッピングモールや駅構内や百貨店)は繁華街としようといえばそうなる」可能性を答弁している。だから、警察が入る推進協議会が決めれば、あらゆる地域に条例の網をかぶせられる。

◆「権利制限も規制も課さない」と口では言うが条文には書かない

  与党議員の質問でも、松村議員の質問に対しても「権利を制限したり規制を課すものではない」と答弁している。そこで松村議員から次のような質問があった。

Q,条例文もしくは指針に、「都民等による自主的な取り組みを推進することを目的としており、権利を制限したり規制を課すものではない」ことを明記すべきではないか。

A,・・・・・自主的な防犯活動等を推進していただくためのご協力をお願いするものであり、何かをしていただく事を強制するとか、あるいは協力しないことで不利益をこうむるといったものではない。

 質問に全く答えず。つまり、条文に書かないのなら、「そんなものは条文にない」と言えるのだから、権利を制限したり規制を課す可能性は否定できない。

◆「規制する側が違反行為する事態は生じない」と答弁

Q,この条例「改正」案を口実として、他人の「権利を制限したり規制を課す」ような者があれば、それが公務員であれ、民間人であれ、その行為は、この条例「改正」案の趣旨に反する違法な行為ということになるが、どうか。

A,違法、適法という問題は生じない。

Q、なぜ生じないと言えるのですか。生じた場合は違法となりますねと聞いているのです。生じた場合は違法行為ですね。

A,・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 条例改定を利用して権利を侵害したり規制を課してしまっても、違法とならないそうだ。最初から違法なことをしようという気だろうか。

◆「指針」=「考え方」に書いてないことも実行できる!?

 聞いていて驚いたのは次の部分である。

Q、「考え方」では、街頭や歩行者天国において大衆に多大な迷惑となるパフォーマンス等、街の秩序を乱す行為の防止に係る啓発活動」については、事業者・地域住民・ボランティアに求められる取り組みには記載されていないが、このパフォーマンス等に関する「啓発活動」は、区市町村や所管警察署その他の行政機関等が行うだけであって、事業者・地域住民・ボランティアは行わないということでよいのか。

A, 行うことができます。

Q、それはおかしい。指針=「考え方」には、事業者、地域、ボランディア(及び来訪者)に求められる取り組みに、パフォーマンス等、街の秩序を乱す行為の防止に係る啓発活動に関することは入っていないではありませんか。なぜ、(事業者・地域住民・ボランティアが)行うことができるのですか。

A ・・・・・・・。

 あらためて「指針」(繁華街等における安全・安心の確保に関する考え方)を確認してみると、たしかに「事業者、地域住民、ボランディア及び来訪者に求められる取組」のところに、質問されたことは書かれていない。もかかわらず、「行うことができる」そうだ。ということは、何でもできるとくことになりはしないか。

 このほか、松村議員が、「『必要な措置』として行為者(パフォーマンスなど表現する人)に直接指導、要請を行うことはできないということを、誰が、どうやって徹底するのか」という質問をした。つまり、条例を拡大解釈したりするのを、どうやって歯止めをかけるのか、という趣旨である。

 答えは「市区町村の担当課長会などを通じて、趣旨の徹底を図る」と述べたにとどまった。そう、誰も責任をとらないということである。

◆「大音量は規制対象」

 無所属の後藤雄一(行革110番)議員の質問も興味深かった。

Q, 違法なパフォーマンスの一例として、肌をあらわにしたり、故意に下着を見せたりして不特定多数の者に撮影を誘発する行為、などを一例としてあげている。二例、三例をあげてもらうと、わかるのだが・・。(場内笑)

 と、だいたい上記のような質問をした。すると、社会常識上考えて、と前置きして「大音量などはそれにあたる」という意味のことを答弁した。当然、大きな音量の演説や音楽、サウンドデモも対象になるはずである。

◆3月22日デモ 3月27日に都庁前で抗議集会

 二日間、総務委員会を傍聴して、私はあきれはてた。あまりにもひどい。このような不備な条例をたった2時間30分で採決して平然としている自民・公明・民主・行革110番。とりわけ民主党があっさり賛成した意味は、もし民主党が政権をとったら治安警察法でも制定するのではないかと恐ろしくなった。

 そこで22日(日)に条例改悪反対デモ

本会議のある27日に抗議行動がある。 わかり次第お知らせする。

2009年3月20日更新

●3月22日(日) パフォーマンス規制条例反対デモ

 16:30 大久保公園集合(新宿歌舞伎町大久保病院裏) 

 17:00 スタート  18:00 アルタ前解散

●27日(金) 本会議採択

正午~13時 都庁横の歩道で、採択反対の情宣・集会

 

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