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2008年10月30日 (木)

国民に対して「臥薪嘗胆」がしんしょうたん を言う”現役”幹部自衛官

 「近代日本の分岐点~日露戦争から満州事変前夜まで」(ロゴス刊)の書評を「週刊金曜日08年9月5日号に書いた。キーワードは臥薪嘗胆=ガシンショウタン。日清戦争後の宿敵ロシア帝国に対するスローガンである。ところが1920年代に、軍人が国民に敵対するかたちで復活した。そして21世紀初頭の現在も、”事実上の現役幹部自衛官”が、外敵にではなく国民に対して臥薪嘗胆を言うようになっていることを、私は文中で指摘した。

◇運命の25年年間

「近代へと歩み出した日本には侵略と戦争への道のほかに進路はなかったのか」。 

表紙に刷り込まれたこの短文に惹かれて読んでみた。軍事化・右傾化する最近の日本を「満州事変直前のようだ」と指摘する人は多い。しかし本書を読み進めると、それ以前の日露戦争から25年間に、近代日本の分岐点があるとわかる。

運命の25年間を検証するため、著者は次の5人をとりあげる。

「小村寿太郎とポーツマス条約」「対華二十一カ条要求と加藤高明」「原敬と国際協調路線の設定」「石橋湛山と大日本主義の否定」「田中義一と二つの干渉戦争」。

明治維新後、日本は「国権」と「民権」の間を揺れ動き、両者のつばぜりあいが頂点に達したのが大正8(1919)年頃ではないかと私は思う。前年には、わが国初の本格的政党政治を実現させた原敬内閣が誕生し、国際協調路線のもとに民権が伸張したかに見えた。ところが、同時期に、朝鮮では「三・一独立運動」、中国では抗日の「五・四運動」が吹き荒れ、日本はとくに前者を徹底的に弾圧し、国権主義の正体を現した。

◇国民にケンカを売る「自衛隊の代表」

 このときから昭和初頭までを見ていくと、現代に通じる不気味さを感じる。たとえば「臥薪嘗胆」(がしんしょうたん)という言葉だ。これは、日清戦争後、独・仏・露による三国干渉に対する国民的スローガンで、報復を忘れず苦心して時をまつ故事である。その合言葉が1920年代に復活する。

20年代の「軍部の屈辱感は、軍縮によって予算を削減され、社会的にも軍人の地位が軽んじられたことへの反発からであり」、なんと軍部は、外敵ではなく日本国内の政党や国民に対して臥薪嘗胆を言うようになった。

私は三回目があると思う。第二次大戦後の軍人(主に幹部自衛官)たちが、このような表現を使ったかどうかは知らない。しかし、基本的人権の尊重、反戦、主権在民を柱にした日本国憲法下で、軍人(自衛官)の地位低下と周囲からの批判にうっ屈した感情を持ちつづけてきた。

わかりやすいのは昨年の参院選で当選し、「自衛隊の代表」と自称する元陸自一佐の佐藤正久議員の言動だ。イラクで戦闘に巻き込まれる状況を意図的につくりだそうと考えていたと明らかにし、「日本の法律で裁かれるなら喜んで裁かれてやろうと思った」と法治国家と国民に対しケンカを売った。

なんと、外敵にではなく、日本国内の政党や国民に対して“臥薪嘗胆”を言うようになった。その後の佐藤氏の行動やブログに書かれた思考と感覚は、1920年代の軍人と似ている。彼の背後勢力も同様である。

◇戦争とファシズムに鈍感な「若手」が日本を滅ぼす

さらにもうひとつ。維新を断行した伊藤博文・山形有朋・大隈重信らが革命第一世代。それに対し本書で取りあげられた第二世代の政治家は、維新後に教育を受けて海外留学経験もあり、列強に対してある程度の自信を持っていた。彼らと少し下の若い世代が日本を崩壊させたといえるだろう。

この部分を読んで私は、第二次大戦や復興期の記憶がない戦後第二世代以降の自民・民主両党の若手政治家の危うさを思った。彼らは、エリート意識と妙な自信をもち、戦争や独裁につながる兆候に極めて鈍感だ。

さて、「ほかに進路はなかったのか」という究極の問に明確に答えたのが、植民地の放棄を訴えた「大日本主義の幻想」を書いた石橋湛山だ。巻末に掲載したこの論文は、今も色あせない。

購入先http://books.yahoo.co.jp/book_detail/32091733 出版社 http://www18.ocn.ne.jp/~logosnet/index.html

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