小選挙区制NO!二大政党制神話の罠
あとがき
もしもこの世から、ライスカレーとカレーライス以外の食べ物が無くなったとしたら、私は生きていく気力を失う。むろん、餓死よりはマシだとわかっていても・・。
ところが政治的には、このような無謀で非文明的なことが私たちに強制されているのだ。二大政党制のことである。表向きは二つのメニューだが、中身は同じ“カレー党”に他ならない。似たような政策の巨大政党が政権を交互に担うのが二大政党制。だから、権力者の策略しだいでは、ソフトな独裁政治を延々と続けることも可能である。
また、古くから二大政党制が定着しているアメリカとイギリスが、イラク侵略戦争を遂行していることからも、戦争を起こしやすいシステムとも言えるだろう。何しろ郵政選挙(2005年9月11日)のとき、小選挙区で48%の得票率しかなかった自民党が73%の議席を獲得し、公明党の議席を加えて強行採決の連続。
“戒厳令”も布告されていないのに国会が事実上停止状態で、過半数の有権者を完全に無視する独裁政治が現出した。本気で戦争を遂行しようと思えば、不可能ではない。
何をどう頑張ったって、カレーライスかライスカレーしか食べられないのだから、政治に絶望しても当然だ。この絶望(二大政党制)を生みだす元凶が小選挙区制に他ならない。ならば廃止しようではないか。
21世紀になってから、私は、人権・平和・言論の自由などを守り発展させようとする人やグループに接するようになった。彼ら自由民権派が共通して言うのは(1)野党共闘と(2)小選挙区二大政党制廃止の必要性である。ところが、このような非民主的制度に真っ向から反対する組織なり政治運動がないのだ。
それならば我々がやろうと、08年4月、同志が集まって「小選挙区制廃止をめざす連絡会」を結成した。連絡会の活動の第一歩が本書の刊行である。この本には、なぜ小選挙区二大政党制が日本を悪くするのか、外国の選挙制度はどうなのか、民意を反映する選挙制度案など、盛りだくさんの内容が示されている。私たちは常に仲間を募っている。本書を武器として反対運動を起こそう。
人間の真価が問われるのは、巨大な流れに抗するときだと思う。たとえば、小泉純一郎の支持率が85%と発表されたその日に、「小泉反対!!」と叫んで街頭に出ること。また、小選挙区ゆえに初めて政権交代が現実化している今この瞬間にこそ、小選挙区二大政党制反対の声をあげるのだ。
二〇〇八年六月 林克明 (ノンフィクション・ライター)
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