死者二人出しても身柄拘束なしの自衛官
イージス艦が漁船を転覆させて二人死亡した事件で二士官が書類送検された。以前、もうひとり赤ん坊が生まれ、生活を支えるために長時間労働で頑張っていたトラック運転者が、うっかり人を轢いてしまい、交通刑務所に服役しているのをテレビで見た。なぜ自衛官が、これだけあまい措置をされるのか。
かたや家族のために必死になって働き疲労困憊したあげくに事故を起こし、刑務所暮らし。一方は、船舶がひんぱんに行き交う海域で直進。漁船を転覆させてもしばらくは救助活動もしなかった。最近は交通事故加害者には厳しく、すぐに身柄拘束されるケースが多い。
しかし、イージス艦事件では書類送検だけ。あまりにも差がありすぎはしないかと私は率直に感じた。
そう思った時に手にした『自衛隊員が死んでいく』(三宅勝久著・花伝社)によって、ある程度は納得した。
◇隊内の暴力行為は野放し?
この本と著者の三宅勝久氏によると、とにかく自殺が多い。一般人にくらべて自衛隊員の自殺率が高い。理由はさまざまあるが、ひとつは、いじめ。また長期間にわたる殴るけるの暴行が横行している日本軍体質があげられる。
鼻の骨を折られ(もちろん大量出血しただろう)たり、殴られて鼓膜が破れたり、安全靴でひざのさらをけられたり、クビをつかまれて階段から引きづりおろされたり・・。
要は自衛隊は日本軍である。自衛隊というと、災害時などに助けてくれる頼もしい人たちというイメージを持つ人も多いだろう。たしかにそういう面はあるが、いま自衛隊は、旧日本軍に近づきつつある。
前述書にも取り上げられているが、さまざま暴行や強姦未遂をした男が、身柄拘束もされず、減給やせいぜい停職処分で済まされており、刑務所におくられたり解雇されないケースが普通だ。一般の会社でこんなことをしたらただではすまないが、世間から閉ざされた密室では、暴力男のやりたい放題である。
◇自衛隊を旧日本軍化させる
他国を侵略し、国民を弾圧し、兵隊を連日連夜暴行していた旧日本軍を批判するどころか、自衛隊幹部や保守政治家たちは、自衛隊をかつての姿に近づけようとしているのだ。
わかりやすく言うと、現在のドイツ軍幹部が、ナチス時代のドイツ軍に近づけようというのと同じことである。
たとえば、折木良一陸幕長が、旧陸軍将校グループの偕行社との連携をせよと文書で指示を出している(07年4月)。さらには、旧軍将校ブループには現役自衛官が家族会員と称して加盟、旧陸軍と陸上自衛隊をむすびつけたい、という趣旨を機関誌に投稿もしている。
この文章の中では、執筆者の若い幹部自衛官は、旧陸軍を批判的に見ていた年配の幹部自衛官や陸自のOBを批判している。また、日本軍に悪いイメージが付きまとうのは教育が悪いと、お門違いな暴言を吐いている。
かつてより自衛隊の印象はよくなっている。しかし根強い疑念を持つ人も少なくないのは、いまほんの少し述べたような、自衛隊は旧日本軍から決別しないどころか、逆にちかづいていることを直感している人が少なくないからではないだろうか。単純に憲法9条の条文に照らしてどうのこうの、というだけの話ではない。
話を戻すと、旧日本軍のような、陰惨ないじめや暴行を放置(防衛省・自衛隊は改善する気持ちがない)する方針を続ければ、ある段階で、その暴力の矛先が民間人に向けられるのではないか。すでにその兆候もあることが、『自衛隊員が死んでいく』に少し書かれている。
今後、自衛隊から国会へ事実上”出向”している佐藤正久先生らが活躍して、本格的な自衛隊の海外派兵(もちろん軍事行動できるように関係者が立法しようとしている)が実現したら、国民が困る前に、ひどい目にあうのは一般の自衛隊員である。アメリカによる侵略戦争に動員される自衛官と国内に残る自衛官の両方が今より厳しい状況におかれるだろう。
(注:アメリカの侵略戦争に自衛隊が動員される可能性が圧倒的に高い。しかし、海外派兵にあたって国連の決議さえ必要なく、日本政府の判断でいつでもどこにでも軍隊(自衛隊)を出したいと考える自民党議員もいるので、日本独自の侵略戦争になる可能性もある。もちろん、恒久派兵法が実現したらだ)
これから先、ふつうの自衛隊員は、ほんとうにいま以上に労働強化され、管理され、たいへんな生活を強いられるだろう。
自衛隊幹部・防衛省幹部・自衛隊出身議員・そのた自民党議員らによる大規模で計画的な兵隊いじめに反対しよう!
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