東京中央郵便局を保存しよう
日本全国で古くて美しい名建築が破壊されている。東京だけでも丸の内ビルジング、交詢ビルデング(交詢こうじゅん社)、・・・と相当な建造物が破壊されてきた。丸ビル解体後にできた高層ビルは見るべきものはない。あの美しかった交詢ビルデングを破壊、旧GHQのビルも外側だけ残して超高層ビルに。
数寄屋橋とセットで独特な都市美をつくっていた日劇ビルを破壊してマリオンに。壊してもあとに出来上がったものが、かつてよりも美しいなら文句は言わない。
ところが、古いものをつぶしてできた新しものの特徴は、背丈が高くてガラスと鉄で出来ていることだ。素材が悪いのだ。外観だけ古いものを保存しても素材を変えるとまったくおかしなことになる。たとえば、国会議事堂の色やデザインを今のままにして、素材を全部人造大理石に変えた姿を想像してほしい。
鉄とガラスの超高層ビル。これが増えるだけで疲労感が襲ってくる気がする。田舎の自然保護も大切だが、都市美をつくることを真剣に考えないと、いつまでたっても世の中は変わらない気がする。
いきなり建物から世の中を変える、などという話になってしまったが、普段目にする光景や環境によって、人間の感性や思考、情緒はかなり影響を受ける。
作家の橋本治が、超高層ビルを破壊したほうがいいと言っていた。これは、際限ない拡大経済をやめよという趣旨から来ているのだが、街並みを美しくすることにも貢献するだろう。
橋本さんの考えは、突拍子もないことなどではなく、実はポイントをついている。詳しくは、「日本の行く道」(集英社新書)をどうぞ。
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