日本を滅ぼした男 山県有朋
いま、松本清張の『象徴の設計』(文春文庫)を読んでいる。自由民権運動を弾圧し、軍人勅諭を作って世間からかけはなれた軍事集団をつくり、大逆事件で社会主義者らをせん滅し、天皇制軍国主義をつくった山県有朋を描いた作品だ。いまに通じるから怖い。
つまり、山県有朋的なるものを推し進めていったために、1945年昭和20年に日本は滅びた。私は、山県は、日本を滅ぼした男だと思っている。
なぜ明治時代を題材にしたテーマを扱った本を読んでいるかというと、それが現代に通じるからだ。
軍人勅諭に象徴されるように、世間の常識から隔絶した武装勢力が日本軍(他国の軍隊もそうだが、日本軍は特別)だ。いま自衛隊がかつての日本軍に近づこうとする動きがあるため、この本に注目しているのである。
自衛隊というと災害のときに助けてくれる集団というイメージを持っている人もいるだろう。しかし、旧日本軍とつながっており、陸上自衛隊のトップは、公式文書で旧日本陸軍をあがめる旧将校グループと自衛隊OBの団体「偕行社」と協力するように命令を出すまでに、事態が進行している。
山県有朋は、徹底的に自由民権思想を嫌い、軍隊内に自由民権思想が入ってくるのを異常なまでに恐れている。それはいまの自衛隊も基本的には変わりない。だからこそ隊内の情報保全隊が、国民・市民に対しスパイ活動・監視活動をしている。
また、山県有朋のように、下層階級から成りあがって自由民権が大嫌いな人物の心理というのにも私は興味がある。
今後は、このような問題も雑誌や本に書いたり、たまにこのブログでも書いていこうと考えている。
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