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2006年6月22日 (木)

法政大学1千人集会

【再び学生が逮捕される】

 6月15日、5名の学生の処分(退学3名、処分検討中2名)に反対する学生による集会が、法政大学市谷キャンパスで行なわれた。

 この問題のポイントは、大学当局が3月上旬に立て看板やビラ配りを一方的規制を始めたことである。それに学生たちは反発しているわけだ。

 3月14日には、学生たちがデモを終えて構内に入ったところ、大学側の要請で私服公安刑事約200人が構内に乱入し、29人を逮捕した。

 15日当日の朝も、抗議する学生4人がまた逮捕された。私が取材にかけつけたのが同日午前11時20分頃。あたりは多数の警察官、警察車両が並んでいた。ざっと数えたが、少なくとも25名以上の刑事が学生たちを撮影して監視していた。異様な雰囲気だった。

【拉致】

 逮捕現場を見たという40代の男性に逮捕の様子を聞いてみた。

「大学が入り口を封鎖して、学生証チェックという検問を始めていた。その一方で公安警察官を構内にいれていたんです。それに抗議した学生たちが逮捕されたんですよ。私が見たのはその最後のところですが、男がビラを撒く学生のところに近づいてビラを受け取るようなそぶりをみせた。そこに白い乗用車がすーっとやってきて、学生を車に押し込んでしまった。警告もなかったし、あれは逮捕というより拉致みたいだったね。恐ろしい」

【大学職員の顔】

 さっそく大学の庭に集まっている学生たちに話を聞こうと進むと、腕章をつけた大学職員に制止された。一切、この集会の取材はできないというのだ。

林「どうしてですか。建物の中に入るわけじゃなく、そのへんの学生たちを取材したいんですよ」

職員「ダメです。今日の集会はダメです。一歩も入れません」

林「大学は開かれた場でしょう。お願いしますよ」

職員「取材は広報を通してでないと受付けません」

林「それでは、広報の方を呼んでいただけますか」

 私の視界に入った職員全員が、顔面蒼白で能面のように見える。表情がなく、頬をピクリとも動かさない。実際、ピクリとも動かないはずはないのだが、そのように見えた。しばらくすると広報担当者が正門前までやってきた。

広報「本日の集会は、学外者の立ち入りをみとめていません」

林「それを認めてください。話も聞かず取材できませんから」

広報「認めません」

【弁護士もコメディアンもシャットアウト】

 そうこうしているうちに、集会主催者に招かれた女性弁護士とコメディアンの松元ヒロさんがやってきた。

 女性弁護士は「学生にたのまれ、仕事としてやってきた。集会場に入れない理由はなんですか? 学生が集会を開くときは常にこのような(バリケードをつくって学外者をいれない)ことをするのか?・・・」

 と質問していくのだが、正門近くで応対した安東祐希学生部長は、まったく表情を変えず、話を聞こうとしない。

 同じく学生に招かれたコメディアンの松元ヒロさん(小泉首相のモノマネで有名な人)も、中に入れるように要求。

「私は学生さんに頼まれて、スケジュールをあけてここにやってきたんです。これ業務妨害になりますよ。この損失を補填してくれるのですか?」

 と迫る。この質問に対しても答えなかった。

【首を締められた学生】

 拉致があかないので、弁護士も松元ヒロさんも一端は引き下がった。と、そのとき検問所あたりが騒がしくなった。

 学生とおぼしき男が職員数人に腕をねじ上げられ、正門つまり私が立っているほうこうに引きずりだされてきた。すると、今度は職員が学生の首を腕で締め、若い男の顔が真っ白になっていく。

 周囲の人たちが言うには、この大学の院生が学生証提示を拒否したから、排除されたそうである。

 抗議する学生し、すでに学生証を見せて構内に入った人たちと外部にいる人たち合わせて千人以上の群衆になり、あたりは騒然となった。

【学生たちの訴え】

 こうなるとまともに集会など開けない。大学が設置したバリケードと正門の間のわずかな空間にハンドマイクと拡声器が持ち込まれ、集会が始まった。

「みんな学生証を見せるのいやがってるじゃないか。そういうことはやめなさい」

「なぜ、戦争反対と書いた立て看板を勝手に撤去するのか。説明できないじゃないか」

「戦争に反対する学生を追い出してどうするんだ?」

「冤罪(3月14日の逮捕のこと)で人生をメチャクチャにされ、そのうえ集会さえ開かせない・・」

 学生たちは口々にマイクを手に主張した。なかには、ハンドマイク片手に法政大学の校歌を歌い始める学生もいる。かつて大学でよく見た「我々はぁ~、まさにぃ~」という口調ではなく、彼らの言っていることは非常に分かりやすい。言論表現の弾圧をするなということに集約されていた。

【ここは、軍事政権下の韓国か】

 百聞は一見にしかず。朝から、学生、公安警察と第4機動隊、大学職員をみていたが、現場にきて自分の目でみると、一枚の絵のように構図が見えてくる。大学側と公安警察はほとんど一体なのだ。

 一連の光景を眼にした集会参加者の一人は「なんだか昔の南米の独裁政権時代みたいだ」と言った。たしかに、乗用車がしずかに徐行して対象人物に近づき、ぱっと拉致して押し込めて走り去る光景が展開されたとなれば、その表現も大げさではないかもしれない。しかし私は、どちらかというとかつてテレビ映像でよく見た独裁政権下の韓国の大学を思い出した。

 でも、独裁時代の韓国でも学内集会は開催できていた。学生が校門の外に出ようとしてはじめて機動隊と衝突していたというのに。

【現役学生と全学連OBらと合流】

 集会のあとは、学生処分撤回、教育基本法改悪反対、小泉政権打倒などと叫びながら日比谷公園まで行進した。

 当日は60年安保全学連OB・OGが、1960年6月15日に国会前で殺された樺美智子さんの遺影を掲げ、国会南門で献花した。このデモは憲法9条改悪阻止をうったえるもので、法政大学からやってきた学生らが合流し、共に国会まで進んだ。

【またしても逮捕】

 6月15日の大規模な集会はこうして終わったが、19日、学生ホールで打ち合わせをしていた学生が、中に入ってきた刑事によってまたも逮捕されている。この大学はいったいどうなっているのか。

 6月15日の集会の様子は、6月23日発売『週刊金曜日』に短い記事をかきました。

 3.14法大弾圧を許さない法大生の会http://hosei29.noblog.net/

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